2011年7月18日月曜日

Hatje Cantz(ハッチェ・カンツ)について

■Hatje Cantz(ハッチェ・カンツ)

ドイツの大手美術出版社。古典的な芸術作品から、現代アート、写真やニューメディアなどの美術書やカタログを数多く出版している。

■サイト: http://www.hatjecantz.de/

■Twitter:http://twitter.com/hatjecantz

■場所:ドイツ、シュトゥットガルト、オストフィルデルン

■歴史:
1945年、当時30歳だった植字工のゲルト・ハッチェは、米仏軍政府によって、出版ライセンスを認められた。彼の手がけた出版物は、質のよくない紙と印刷だったが、知識を渇望する戦後間もないドイツの人々に、広く受け入れられた。1947年、出版社の名前を「Verlag Gerd Hatje(ゲルト・ハッチェ出版社)」に変更。1950年代に入ると、次第にビジュアルアートや、現代建築、デザインなどのジャンルにも進出していった。1960年代には、ハッチェの本は、多くの芸術家に愛され、共同作業のような形で美術書を出版していった。

一方、1933年にカンチェ・ドラッカライ博士によって設立された印刷所「Cantz(カンツ)」は、戦後、事業を引き継いだ息子のウォルター・カンツのもと、 高品質の芸術本を発行し、その出版も手がけていた。カンツの出版物はアーティストからも多大な信頼を得ていた。

1990年、75歳になったドラッカライ博士は、自身の印刷所カンツを売りに出した。そこで、ゲルト・ハッチェは、カンツを吸収合併した。合併したものの1995年までは、ハッチェとカンツは別々の仕事をしていた。そこに、美術史家のアネット・クーレンカンプが新しいアイディアを両者にもたらし、「Verlagsgemeinschaft Hatje Cantz(出版グループ・ハッチェカンツ)」の名のもと、初の共同カタログを制作することになった。

1999年には、2つのブランドが統合され「Hatje Cantz Verlag (ハッチェ・カンツ出版) 」となり、より精力的に美術出版を行うことになった。2004年には、ロゴが現在の黒白のデザインに変更され、ハッチェとカンツの一体化が、視覚的にも打ち出された。美術カタログや美術本の老舗出版社としての地位が揺るぎないものとなってきた2006年には、ベルリンにオフィスを構えた。その翌年、創業者のゲルト・ハッチェは、92歳の生涯を終えた。

2011年2月に、親会社のJ.Fink Holdingが倒産を宣言。ハッチェ・カンツ自体は、堅実な経営を保っていたものの、全額出資されていた子会社として影響を受けることになった。しかし、4ヶ月後には「Ganske Verlagsgruppe」が親会社となることが発表された。ハッチェ・カンツの根強いブランド力が評価され、すべての従業員と、シュツットガルトとベルリンのオフィスがそのまま確保されることになった。

(ハッチェ・カンツのサイトより)
http://www.hatjecantz.de/en/wir-ueber-uns/geschichte-1945-1960.php

■動画
ハッチェ・カンツのマネージング・ディレクター、アネット・クーレンカンプ(Annette Kulenkampff)のインタビュー。(2011年3月29日)。今後のハッチェ・カンツの将来について語る。


■代表的な写真集
ヴォルフガング・ティルマンス






アンドレアス・グルスキー




杉本博司

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